実験やめたった シマエナガ編

劇団「実験やめたった」の活動報告

某バンドサークルのコンピアルバムVol5の解説とコメント(その3, 2曲目)

 シリーズ第3回目はアルバム2曲目の「梅雨 by luxalapis」を解説する。筆者はこの曲もすばらしいと思う。

 

この曲の良い点

 この曲は表現したいテーマがはっきりしているところが良い。季節は梅雨ということで、天候も自分の心も暗くなっているところ、でも自分を奮い立たせて前に動き出そうというポジティブな心情が歌われている。歌詞が詩的で良い。ぽつぽつと単語が歌われていくにつれて情景がリアルに想起されていく。韻を踏んでいる場所が多々あって言葉遊びとしても面白い。

 

 コード進行を解析していくと相当高度なテクニックが使われていると感じた。しかもこれが曲の世界を表現するのに効果的に使われていると思う。

 

イントロ

Gmaj7 . . . . . . . Am6 . . . . . . .
Bm . . . . . . . C . . . . . . . 

Gadd9 . . . . . . . DonA . . . . . . .

Bm . . . . . . . Cmaj7 . . . D . . .

 

 見ていくと、長7度、マイナーコードに6度、add9などが登場する。これらの追加された音によって曲の面白みが断然増していて、どうしようもなく暗い鬱積したふうでもなく、能天気なふうでもない、この曲の独特の雰囲気を作っているのだとおもう。

 

AメロBメロ 

GonB . . . . . . . GonC . . . . . . .
GonC# . . . . . . . GonD . . . . . . .

Gadd9onB . . . . . . . Gadd9onC . . . . . . .
Gadd9onC# . . . . . . . D . . . . . . .

Bm . . . C . . . Gadd9 . . . . . . . 

Bm . . . Cmaj7 . . . D . Am7onD . D. D7
        

 AメロではギターはずっとGを弾いていてベースだけが順次進行していく。筆者はベースの音を拾っていって初めて「こんな音の組み立て方だったのか」と驚いた。筆者はこれは、もやもやする心情の表現、そして、この先の展開をよりドラマチックに演出する為の意図があってのものだと解釈した。

 その後Bメロからは場面が転換する。コードの複雑さが少し除かれ、しかもメロディーの起伏も大きくなり、音の高さも一段階上がって、しっかりとした変化がつけられている。

 

サビ

G... GonB... C... B... Em... D... A7onD#... D... 
G... GonB... C... B... Em... D... Cadd9... D...

G.......         

 

 サビからはさらにコードがシンプルになって開放的な雰囲気になる。Cが鳴った後に(ト長調に無い音を入れた)III度メジャーのBが鳴り、VI度マイナーのEmに行く。この次、ドッペルドミナントのA7onD#が入る。この変化(と、さらに起伏を大きくしたメロディーと、3本目のギター)によって曲の一番の聞かせどころであるサビがダイナミックになっているのだと思う。

 

Cメロ

Am . . . D . . . G . . . . . . .
F#dim . . . B . . . Em . Ebm Dm7 . G .
Am . . . D . . . Gmaj7 . . . . . . .
Am . . . . . . . D#dim(onB) . . . B . . .

 

 Cメロもコード進行レベルで他とは違う雰囲気になっている。diminishなどの不協和音系のコードの使いどころがうまい。

 

 

というわけで動画で見ていただこう

 

 

 筆者の勝手なコメントとしては、2:54のところトニックのGを何か別のコードにするとギターソロの続いていく感が出て良くなるのではないかとおもうが、ここをどのコードに変えると良いのかは筆者もよくわからない。3:06のギターのGコードは、直前のGとちょっと違うGを弾くと良いとおもう。

 

(つづく)