実験やめたった シマエナガ編

劇団「実験やめたった」の活動報告

某バンドサークルのコンピアルバムVol5の解説とコメント(その7, 11-12曲目)

    シリーズ第7回目は、アルバムの11-12曲目について解説していく。

 

#11. アイスマスター

 この曲は色々とネタを詰め込めるだけ詰め込んでてんこ盛りなのだが、この曲(というかこのバンド)は、「全部好きだからどれか一つには選べない」という若者の欲求が昔からのテーマなのであってこれが良い。むしろこのスタイルが必然なのである。

 

 筆者はこの曲は、平成時代のアイコンを詰め込めるだけ詰め込んだ(平成を代表するゲームであるポケモンNegiccoのようなアイドル、オタ芸、バブル期のディスコなど)作品だと解釈しており、まさしく平成から令和への転換を象徴する作品だと思う。

 

 さて、平成の時代には日本(や世界)の音楽シーンも社会も劇的に変わったが、趣味が多様化・細分化し、SNSが瞬時にトレンドを拡散する現代、そしてその先にある、人工知能が無尽蔵に音楽を生成し、VRとネットワークによってリアルタイムで感覚が共有できる未来、そんな新時代令和にはどんな音楽シーンが広がっていくのであろうか。映像、感覚、ストーリー、体験と結びついた、今までみたことの無いような総合的なエンターテインメントが生まれるのか、それとも、焼畑農業の成れの果てのような不毛な世界が待っているのだろうか。

 

 

 

 

 

#12. 終わりの

  筆者はこの曲を聞いて凄い若手が出てきたなと思った(注:筆者はノゾム君は知ってる)。歌詞も曲も詩的で綺麗で、たった二人でもよくこの終末感が表現できているなと思う。ボーカルのダイナミックレンジ(声量や音域の幅)がすさまじく広い。また2人の呼吸もばっちりである。(実はこの曲は機械のクリックでテンポを調べてみると、BPM=82から86あたりの範囲でかなり変動している。しかし、2人がシンクロしているので、曲を聞いていてもまったくそのような違和感はなく、むしろテンポの絶対値のゆらぎが心地よさにさえなっていると思う。)

 

 

 

 

 

(つづく)