某バンドサークルのコンピアルバムVol5の解説とコメント(その6, 8-10曲目)
シリーズ第6回目は、アルバムの8-10曲目について解説していく。
#08. また明日
#09. 荒波
この曲は荒波というタイトルだが、その名の通り波の情景がわかる気がする。(曲の雰囲気でその人の記憶や脳内のイメージが想起されるというのはよく考えてみると凄いことである。)筆者はこの理由について、以下のように解釈している。
・コード進行はたぶん Bmaj7 → C# → E#m。一曲を通してこのシンプルなコード進行が続き、淡々と寄せては返す波を想起させる。
・細かく動くギターのアルペジオによって波が混ざり合った細かい泡の動きのようなものが思い浮かぶ。
・クリーンで幻想的な音作りとは裏腹に、歌詞が鬱積したような複雑な心境を醸しており、「混ざり合って」という単語のイメージもあり、割と灰色の彩度の低い光景が思い浮かぶ。
・「広告塔」や「足音」という単語が出てくるので、もしや荒波というのは街の雑踏とか人混みの比喩?
なお、間奏のところのハイハットオープン・クローズを演奏するの所のテンポに気をつけよう。
#10. 寒中水泳
この曲はアルバム中で音楽理論面でも演奏面でも最高難易度の曲である。
筆者は色々試行錯誤をして以下のようにコードを解釈した。原曲と比べてやたらとつるんとなってしまったが、がんばって作ったので是非聴いていただきたい。
この曲はテンションノートを多用しており、いくつかの楽器で音を鳴らすと倍音が干渉して音が濁る恐れがあった。特にAメロはルートの音に対していつも増4度の音が含まれる(ファとシ、ドとファ#)という緊張した和音構成なので、ピアノの高い方の音域を使って、できるだけ音が濁らないようにした。
サビの直前のコード進行は、「陽を落としてしまった」の「た」の音はC#だと解釈して、クラシック風にC#dimを使うことを考えてこのようにコード進行を設計した。
(つづく)